九重・八丁原発電所を見学。出力110,000kW/日本最大の地熱発電所。

特集

日本最大の地熱発電所/八丁原発電所

 日本は地震大国であり活火山も多い。しかし同時にその造山活動によって降雨量も比較的多く安定していて、狭い範囲に高地から低地まで存在する。動植物が繁栄する世界的なホットスポットでもある。自然の営みを考えてみると、人にとっては恩恵と厄災という風に光と影を捉えがちなのだけど、そもそも自然にとっては成り行きに過ぎない。今回見学した地熱発電所も、ある意味では自然の脅威を利用したものだといえる。その脅威はまた一方では、文明に対する恩恵でもあるのだ。

 九重の硫黄山。もうもうと噴煙が上がっている。その麓にはいくつかの地熱発電所があり、自然の力を活用している。訪れたのは、「八丁原発電所」といい1号機と2号機が稼働している。日本一の発電量を誇る地熱発電所だ。日本の中でもこの手の発電所は数が少なく、ほとんどが九州と東北に点在している。

吹き上げる蒸気と流れる水が美しい/冷却塔

 水蒸気がもうもうとここでも上がっている。

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[col2] この場所は冷却塔、温水の蒸気が上がっている。液体は下に落ちて、再利用される。

 上に上がっていく水蒸気は勿論、落ちてくる水がまるで滝のようで、特に目を惹きつけられるシステム。

 水の音で説明して下さる声がかき消されるほど勢いがある。[/col2]
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機能建築美が溢れる/フラッシャーと汽水分離機

 メカメカしい人工物。機能的な建築の美しさがある。地下のマグマで温められた地下水や水蒸気をくみ上げた後、この汽水分離機にかけられる。遠心力を利用して水と水蒸気に分けるシステム。そこに通じている大きなパイプは二相流体輸送管といって、気体(水蒸気)と液体(水)を同時に運ぶ。

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 家庭の圧力鍋でも分かるように、圧力が高い状態では気体になれる温度も高くなる。地球の内側、地下水が溜まっている地熱貯留槽は丁度、天然の圧力鍋。そこから取り出した蒸気から動力を取り出し、そこから再び圧力を下げることで、更に蒸気(動力源)を取り出すことが出来る。この圧力を下げる装置がフラッシャーというようだ。ある意味では古典的な蒸気機関ということだろう。

自然の恵みを受け取る/蒸気井

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[col2] 発電所はとても美しく洗練されている。奥に見える蒸気は地中の地熱貯留槽から熱水と蒸気を取り出す井戸。蒸気井(じょうきせい)というようだ。その熱水と蒸気は約300℃ほどあるという事で、水を通さない岩盤によって蓋がされ、かなりの圧力が蓄えられている。

 蒸気によってタービンを回し、発電された電機は変圧器を通って運ばれていく。タービンは1秒間に60回転し、これが西日本の電源周波数60ヘルツとなっている。[/col2]
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発電所内部に入る。驚き、無人の管制室。/タービンと管制室

 発電所内部も整然としていて、様々な機器類が並んでいる。

 タービンはとても巨大。三菱製の蒸気タービンと記されている。

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 蒸気タービンの中にはメーター類などが整列している。その周りにはコントロール関係の電子機器類が並んでいた。

 発電所内にガラスで囲まれた管制室もあり、この場所は無人で運転されている。カメラを使って運転監視を行っていて、少し離れた大岳発電所から3交代24時間体制で制御操作を行っている。とても近未来感がある。

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 基本的な説明は、最初に係員の方が詳しく説明してくれる。また、こうした図をみると理解も進む。

 もう一度簡単に説明すると、マグマで温められた地下水と蒸気をくみ上げて、その蒸気によって発電する。極シンプルな原理である。付け加えるならば、残った水はまた地下に戻す。そうすることで出来る限り自然のサイクルに影響を与えないような取り組みがなされている。再生可能エネルギーとしての地熱発電所は、近年騒がれている温室効果ガスの排出も行われない。

 発電所を出ると大きなアンテナ装置。空を見上げながら撮影。[/col2]
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森の木洩れ日を受けて走る配管/還元井

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 配管は森の中を通っている。地球に影響を与えにくいとされている発電方式。しかしやはり美しい景観に大規模な人工物が出現する景観の懸念も大きいようだった。

 また経年劣化による設備の更新なども重要で、配管に詰まる汚れは定期的に削ぎ落とさなければならない。管理の部分に結構なコストが掛かっていることが伺い知れた。[/col2]
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 余分な水を地下に戻す還元井(かんげんせい)でも多くの水蒸気が空へ向かって吹き上げている。

驚きの見学体験。日本の働く現場を体感する。

 働く現場。こうした人間の技術や知恵が結集された建造物に対する機能美は素晴らしいものがある。この場所はとても貴重な見学が可能だった。ここには入ることが出来たのだけど、普段一般人が立ち入ることが出来ない現場というのは、日本中に点在しているのだと思う。最近、こうした現場の写真というのがとても興味深くなっている。その影響をとても受けたのは、近頃知り得た写真家/西澤丞氏の写真の影響が大きい。

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西澤 丞「MEGA-SHIP (日本の現場「造船篇」)」
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[col2] 熊本の長洲町。日立造船やジャパンマリンユナイテッドといった造船所がある。その現場はとても美しく、上記の写真は自分で撮影したものだけど、立ち入り困難な内部を徹底網羅した本。とても興味深く感動しながら拝見した。近年影響を受けた一冊。クリックするとアマゾンで中身の写真も少し見られるので是非。 [/col2]
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西澤 丞「鋼鉄地帯 (日本の現場「製鉄篇」)」
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西澤 丞「Build the Future」
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 特に日本の現場シリーズはとても興味深く、今後も新シリーズが出れば買い続けようと思えるほど。資料的にも素晴らしく、写真ももちろん素敵。今どき写真集を作って生計を立てていく正統派な写真家は少ない為、応援していきたい。
[aside type=”normal”]JOE NISHIZAWA PHOTOGRAPHS フォトグラファー/写真家、西澤丞のウェブサイト[/aside]

地熱発電の可能性を感じる。

 今明らかに注目されている環境エネルギー。地熱発電所はこれからも重要な環境エネルギーになると思われる。しかしながら、九州電力管内の総発電実績から見ても約2%ほどのシェアであるという。資源効率の面から言えば圧倒的に化石燃料や原子力の方が分があるという事なのだろう。現代社会が電気というものを必要としている以上これからも電力の安定供給は絶対的な課題であり続ける。そうした意味でも、エネルギーの多様化は急務といえるだろう。化石燃料が明らかに有限資源である以上、無限資源でもある環境エネルギーの技術は担保されて行かなければならない。しかもあらゆる危機に対しての備えには多様化されたエネルギー源が必要なのだ。1年を通して安定供給が約束された地熱のような動力源は、不安定な国際社会、そして環境の中で保険とさえ成り得る。ただし確かに自然の景観を損ねる点については本当に残念な部分でもあるのだけれど。立地局面の課題は常に付きまとう問題だ。素晴らしい見学が可能な八丁原発電所。これからの地熱発電所の在り方に期待したいところだった。

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[col2]八丁原発電所展示館

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この記事を書いた人
滝坂次郎

デジタルもフィルムも愉しんで、写真を撮って歩いてます。

足元を見てみると知らないことだらけ、少しでも自分の世界のものの見方を広げ、他人の楽しみを自分の楽しみにできたら良いなと考えてます。

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