リバーサルフィルムをルーペで覗く。圧倒的感動を享受する。

私感

リバーサルフィルムの素晴らしさはいくらでもあるのだろうけれど、ライトボックスで見たときの感覚というのは本当に最高だと思う。先日、星野道夫の旅という展覧会に足を運んだ際、そこで拝見した展示の一つが、このライトボックスに照らされるリバーサルフィルムだった。こんなに美しい世界があるんだと考えると、自分の胸が躍るのが分かった。

星野道夫氏を通した世界というのはとても美しい。そして印刷されている何物より、このリバーサルフィルムという原本にこそ、私の心は惹きつけられてしまったのである。

星野道夫氏本人が遺した写真集の一つ。GRIZZLY(平凡社 1985年)は今文庫本となっていて撮影データまでそろっているので圧倒的オススメ。

まずはライトボックスに置くところから。

私も初めてリバーサルフィルムを用い、それをデータ化した。この世界観というのももちろん好みで、私のあの記憶をデジタルカメラより再現してくれているように思えた。しかしあの時感じた感覚とはちょっと違ったのだ。それで今日はライトボックスを引っ張り出してみてその上に現像フィルムを置く。「そう、これだ。この感覚だ。」そんな風に心の中で呟いた。

あの思い出が実体となって甦る。

あの日の思ひ出。写真:滝坂次郎

観念としての思い出が、実体のあるものとして、今手元にある。そんな感覚がとても新鮮で素晴らしい。そして何よりデータ化されたものより美しいのである。いつか誰かが、私の思い出をこうしてライトボックスで見ることがあったなら、きっとその人はその時の私となって、その感動を得るのだ。そんな風に記憶を共有することが出来るに違いない。なんて素敵なんだろうか。今こうしてライトボックスで見る写真は、あの時の私の感動そのものなのだ。

次にはルーペで鑑賞する。

私の思うリバーサルフィルムの素晴らしさはこんなところにある。そしてまたルーペで覗く写真も格別である。リバーサルフィルムをライトボックスに置く。ただそれだけでもこれに魅了される事必至なのだけれども、やはり拡大してみたいところなのである。

ルーペにも様々な種類があって、特に有名なのは「ピーク・アナスチグマット・ルーペ」であるようだ。今、この界隈の道具は既に姿を消したものも多く、リバーサルを少しでも齧ろうと考えているならば、早いうちに買っておいたほうが良い気がした。それで特に意味はないのだけれど、キヤノンのルーペが目についたので、一生モノとして付き合おうと購入してみた。

ちなみに残念ではあるが、キヤノンのルーペは現在販売しておらず、ディスコンティニュード。

ファインダーを覗いたあの景色が眼前に広がる。

とりあえずは写真を鑑賞することが目的なので、4倍のものを購入。早速覗いてみる。しかしこの感覚、病みつきになりそうである。先達が仰っていた事も分かるというものである。このルーペを覗いていて思ったのであるが、丁度カメラのファインダーを覗いてみていたあの時の、あの光景が目の前に広がっているではないか。

この世界への没入感が素晴らしい。”ファインダーを覗いて写真を撮る”という行為もとても没入感があって、自分と、被写体と、カメラと、あらゆるものと対話しながら撮影できる。そしてまたこの方法で鑑賞すると、その作品と同じように対話することが出来る気がするのだ。こうした方法を知ってしまった今、私の中の写真という位置づけに新たな風が吹き込んでいる気持ちだ。

使用フィルムはvelvia100。生き残る現行品。

ちなみに今回撮影に使用したポジフィルムは、富士フィルムのVelvia100。超がつく極彩色と言われ、とても艶やかな表現をする風景写真向きのフィルム。それでも現像されて出てきた写真は、思い出のそのまんまの表現がなされている気がしていた。記憶色とさえ言っても良いかもしれない。

現在富士フィルムからは、3種類のリバーサルフィルムが販売されている。

  • Velvia50/
    色再現:イメージカラー 彩度:超高彩度 階調:硬調 シャープネス:極めて高い RMS粒状度(数字が小さいほど高画質):9
  • Velvia100/
    色再現:イメージカラー 彩度:超極彩度 階調:硬調 シャープネス:極めて高い RMS粒状度(数字が小さいほど高画質):8
  • Provia100F/
    色再現:リアルカラー 彩度:超高彩度 階調:硬調 シャープネス:極めて高い RMS粒状度(数字が小さいほど高画質):8

※ またコダックもリバーサルフィルムのEKTACHROME E100を復活販売している。

所有する喜びに再び光を。

ルーペで覗いた時の感動は、まさにあの時の空気感さえもそこに再現されているように感じる。現実にそこに赴き、五感で感じたものさえも。

フィルムでの撮影、リバーサルフィルムで撮影し現像したら、是非ともライトボックス上でルーペでの鑑賞をしてほしい。きっと素晴らしい経験が出来る上、更にその表現方法の魅力にとりつかれるはずである。現代においてあらゆるものがアナログなものからデジタルなものへと変容を遂げてきた。技術の進歩であるとはいえ、時には手に取ることが出来る実体に価値を取り戻してほしくなることだってある。

美しき思い出を手中に収めるという価値に、今こそ再び光が当てられるべきなのかもしれない。

この記事を書いた人
滝坂次郎

デジタルもフィルムも愉しんで、写真を撮って歩いてます。

足元を見てみると知らないことだらけ、少しでも自分の世界のものの見方を広げ、他人の楽しみを自分の楽しみにできたら良いなと考えてます。

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