【さろく旅】阿蘇神社、御田祭と国造神社。

阿蘇の御田祭を少し観覧す。

夏の日差し照り付け、肌を焦がす。

阿蘇神社の例大祭の中にあって、御田植神幸式は最大の祭り。阿蘇の北宮こと国造神社でも執り行われる神事。五穀豊穣を願うこの時期の風物詩である。ところで梅雨入りも待ちわびた令和元年の九州、梅雨入りも6月26日と例年と比しても3週間ほど遅い記録的なものであった。それでもいざ阿蘇の田園を見渡してみると、すくすくと育まれゆく稲の姿に、むしろ活力を頂戴するような気持ちになるのだった。

この素晴らしき祭りをほんの少しだけ見学させて頂くに止め置き、あまりに苛烈なる日差しの前に退散を余儀なくされるのであった。その後の報によれば、この日は猛暑日として認定されており、全国的に見ても多く熱中症が発生していたとの事であった。一たび帆を休め、再び出帆せりしときには、おもむろに阿蘇の北宮こと国造神社へと舵を切っていたのである。

阿蘇の北宮、国造神社と田園風景。

北宮から一直線、阿蘇神社へ向かう参道。

稲は青みを次第に増し、日に日に背丈が伸び行く。一たび阿蘇谷へ清々しい風が吹き込めば、その涼やかな風によって、稲穂の潮騒が聞こえてくる。そこに目をやり耳をやり、この世界を捉えようとしていると、日々の喧騒を忘れつつ、悠揚なる精神を取り戻していくのが分かった。鎮守の杜に少し足を踏み入れてみれば、木陰が光を織りなし、夕刻の訪れを知らせるようにヒグラシが鳴き始めていた。

青田の輝きと美しさに見入る。たったそれだけの事なのに、今という時間を堪能することが出来たのである。国造神社周辺には古代から存在する手野集落があり、数件の鄙びた民宿が在る。集落からは阿蘇谷と阿蘇五岳を一望できる。その中央を流れる宮川は、阿蘇外輪山から湧き出る清流。ヤマメが息づき、ホタルも舞うのだという。そんな阿蘇からの恵みを一身に感じながらも、そこに息づく伝統や宗教がそこから育まれ、人々の豊かな精神性をも象徴しているようであった。

撮影機材

ヨナが降りしきる、仙酔峡。

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。