【さろく旅】旧奈良監獄は明治時代の空気の名残。

旧奈良監獄をさろく

 明治時代、西洋列強に日本の近代化を認めさせるため威信をかけて建築した五大監獄。監獄内は人権が保障されている。厳しい規律はいつ崩壊するとも知れない秩序を維持する為のもの。監獄の緊張感は、建物にすら染みついてしまっているように感じた。

デジタルでもフィルムでも撮影しているが、今回1ページ目はデジタル2ページ目はフィルムという構成とした。

滝坂次郎-銘

雰囲気を感じて欲しい旧奈良監獄。

監獄内の廊下。

 旧奈良監獄は1908年(明治41年)に誕生し、戦後には奈良少年刑務所と改称、2017年(平成29年)の閉庁を迎えるまで使用されていた刑務所。ついこの間まで運用されていたのだと考えると、とても近代的で機能的な監獄であったのだと感慨深いものがあった。

 
 

監獄内の窓。鉄格子に囲まれた世界。

 一度中に入ってしまえば、窓は鉄格子で囲われている。そこから見える風景は全て頑丈な金属で区切られている。勿論、外の風景と言っても刑務所内でしかないのだけれど。

 
 

 上部からの光は一階まで届く作りとなっている。基本的には独居房。

 
 

 上記は所謂、処遇困難者を一時的に拘留する独居房「マル房」。円柱の形をしていて天井はとても低い。保護室と呼ばれているが、一般的に言えば懲罰房。中には落書きが散乱している。

 
 

 放射状に収容棟が延びるハビランド・システム。旧奈良監獄で最初に採用されたこの形は、網走刑務所でも活用されていた。

収容棟の間に力強い木立がそびえる。

 
 

 収容棟を外から見てみると、上下水の配管がとても複雑に入り組んでいる。そして外から見ても一目瞭然なように数字が割り振ってある。建築美が素晴らしい。

 実は地ビールも販売されていて、生ビールを飲み比べてしまった。そしてこの場所で味わう至福のひと時。

解体工事が進む地区。重機が並ぶ。

 窓からは日が差し込み、また外には紅葉する木と赤レンガ。

中庭の紅葉が美しい。

 個人的に気に入ったのがこの中庭の景色、医務室へ通じる渡り廊下から眺める。紅葉が赤レンガにとても映える。囚人たちにとってもきっとそう見えたに違いない。

 
 

渡り廊下から中庭を眺める。

 医務室と模範囚の房を繋ぐ渡り廊下。鉄格子に囲われた窓の外には中庭の風景。

 精神障害などの処遇困難者が騒音の原因になるときなどに収監する単独隔離房。
 
 江戸時代、奉行所時代に使われていた野ざらしの座敷牢。虫かごに似ている通称ギス監。
 

 塀の外にはフェンスに囲われた運動場も備えられていて、一日のうち30分運動時間も設けられている。

 本来、正門から入ってくると真正面に見えてくる庁舎。尖塔やアーチ窓が特徴のロマネスク様式で建造されている。

 庁舎側から正門を見る。左側の建物は食糧庫。庭園も美しい。

撮影機材/本体:Canon EOS 5DmarkⅣ(フルサイズ:一眼レフ)
レンズ:EF16-35mm F4L IS USM

これまで撮影したのはデジタル一眼レフ。コンパクトフィルムで撮影した写真は次頁で。

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。