有明紀行-ARIAKE SEA- Vol.2 荒尾干潟

滝坂次郎

有明紀行Vol.2

私が今回の撮影で一番驚いたのは目を見張る光景であった。島原半島全体を覆いつくさんばかりの光芒が開け、そしてそれが虹色の光へと変化していく。実は当初、この光が少しだけ顔をのぞかせたときにも不思議な感覚があった。「何故あの一角だけ、見たことがないほのかな橙色をしているのか。」と考えてみたものの、その謎は大きくなるばかりであった。次第にその領域が拡大していきあまりの光景に言葉を失った。

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F16:1/135秒

だが当初この場所に来た目的は、この時期飛翔するシギ、チドリなどを群れで捉えようというものであった。そしてそれはセカンドツールとして活躍を期待して導入した7D2のお披露目の舞台でもあったのである。

参考にするサイト

【荒尾市サイト】荒尾干潟潮汐表

飛翔する群れ

EOS 7D mark II/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO160:F8:1/500秒

飛翔するチドリ、シギの群れ。さて有明紀行というのだから、そろそろここは何処かという点について語らなければならないであろう。ここは有明海に面した湿地で「荒尾干潟」という。干潟は渡り鳥の中継地となっている為、多くの野鳥を観察することが出来る。そして彼らの存在が既にこの海の豊かさをも証明しているのである。

百千鳥の舞

EOS 7D mark II/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO800:F16:1/640秒

タンカーとシギの群れ。満潮の前後二時間程度は、こうして海岸線のすぐ近くに野鳥の姿を捉えることが出来る。物凄い数の渡り鳥が集団となって岸辺に集まってくる。その光景は圧巻だ。こうしていくつかのグループが次々にやってきて、更に規模を増した一塊の集団となっていく。

着地の瞬間

EOS 7D mark II/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO160:F8:1/640秒

砂浜に着地する群れ。こうして同じ場所に固まって留まっていく。ここ荒尾干潟はラムサール条約に登録されている場所である。特に水鳥を守るために湿地保全を目的とした国際条約。こうした水鳥は遠く”渡り”を行うため、留鳥と異なって国際的な保全の枠組みが重要となってくる。

横一列の群れ

EOS 7D mark II//手持ち/ISO800:F16:1/640秒

例えば、対馬は渡り鳥にとって絶好の中継ポイント。野鳥愛好家の聖地であったのだが、近年その数は100分の1程までに減少しているという。その理由は、湿地の減少、繁殖地の開発などが原因だとされている。こうした野鳥の減少は全国的にみられる問題で、一番この時期身近な渡り鳥であるツバメの減少も著しい。こうして群れになって飛ぶ姿を見るとそれだけで嬉しくなってくる。

鮮烈な飛翔

EOS 7D mark II/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO125:F16:1/160秒

この不思議な光景とシギ、チドリの飛翔が重なった。美しい鳥たちの舞いを見ながら感嘆の小一時間を堪能する。通りかかった以前荒尾干潟の保全活動をされていた人と会話を交わしたのだが、島原には二重に虹がかかる事もあって、地元の人にとってはあまり珍しい光景ではないような反応だった。

皐波

EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F4L IS USM/三脚/ISO100:F16:30秒

表紙絵に使っている画像もそうなのであるが、30秒露光で海を幻想的に仕上げてみた作品。これを目に出来る機会というのはそう多くないに違いないと考え、様々な方法で撮影してみたのだが、私のイメージはどちらかといえば、このように仕上げたいものだった。

飛沫を上げる夏の潮

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO6400:F16:1/3200秒

波しぶきが激しかったので、こういうイメージも撮影。シャッター速度を稼ぐためにISO6400まで上げて撮影している。この時間になると光芒も消失しかけていた。しかしこのオーロラのような光芒。とても美しい光景だ。

阿蘇と有明海は特別な存在

このような光景を見たのは初めての出来事だった。とても驚嘆したものだったが、やはり肉眼と記憶の美しさというのものほど素晴らしいものはないのだろう。その素晴らしさを写真に収めるのはもったいない気さえしてしまったのである。ところで今回、公開した写真は一部。諸事情のため、その他の写真を公開するのは暫く後になるかもしれない。荒尾干潟、野鳥たちを観察するにはもってこいの場所である。こうした干潟が熊本にあるという事はとても感謝すべきことだと思える。阿蘇と有明海。私にとっては特別な存在であることは間違いない。そしてこれらは写真にとってもこれからおさめ続けていきたい存在である。風景はさることながら、その動植物の多様性の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。春と秋は渡りの季節。もうしばらくの間、野鳥にも力を入れたいところである。

上記は虹色になる前のほのかな明かり。撮影時間は16時頃のため夕陽ではない。この日の日没時間は19時頃である。不思議だったため記録的に一枚撮影していたのだった。

ところでこの日使用した初めてのカメラ7D2については、当サイトのブログ「新たな相棒7D2!熊本の風景を撮る!」に掲載している。

有明紀行-ARIAKE SEA- Vol.1 三角/網田

2017.04.17

▲vol.1.三角網田方面の紀行文。

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。