阿蘇紀行-ASO GLOBAL GEOPARK- Vol.5 産山/鞍岳

滝坂次郎

阿蘇紀行Vol.5

もう高い雲がモクモクとそびえ、風薫る季節となった。草花が芽を出し、花を咲かせる。鳥たちが巣を作り、繁殖期を迎え、そして渡りを行う。多くのドラマが待ち受けるこの季節、阿蘇の変化も著しい。野焼きを終えた阿蘇、緑の絨毯へとなるにももう少しというこの時期の美しさも格別である。ゴールデンウィークは阿蘇の原野の芽吹きがとても美しい時期である。是非訪れてみてほしい。また日差しは温かく、風は涼しい。そんなさわやかな陽気に包まれる阿蘇は特別過ごしやすい。

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

日の傾いた帰りの道すがら産山から撮影。この日は中国からのお土産でもあるPM2.5は少ないとの予報は的中。阿蘇らしい風景を目の当たりにすることが出来た。我々の身の回り全てで春夏秋冬に応じて様々な魅力を備える。だから同じ場所を訪れた所で、その瞬間に同じものはない。そのように考えると今見ている景色は常に不同のもの。しかと目に焼き付けるべき対象である事に気づくのである。

女岳山頂

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

この日は雲海も出現したとの情報あり。そういう日であるからその後雲一つない快晴となった。光が強すぎてノペッとした写真となってしまったが、見晴らしの良い素晴らしく澄んだ空気に恵まれて肉眼で見る景色は素晴らしかった。またそれをおかずにした食事も美味しく感じられるのである。お昼にはここ鞍岳付近に訪れ、その眺めを満喫した。

春野・春嶺

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

とはいえ、山であるから雲が出てくれる。雲が出てもすぐに霧散してしまう。そうした春の野はとても美しい模様を描き出す。光の当たる箇所。そして影を作る場所。陰影を描き出せばその立体感の良い事。

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

雲がひとつ、またひとつと稜線を越えてやってくる。陰に入るととても冷やかな風を感じ、また日向に出るととても温かな陽気に包まれる。多くの草花は蕾み、今か今かと花を咲かせんとしていた。

平野も笑う

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

山も実に多くの色彩が見られる。黄色から緑にかけての濃淡が映える季節。それは山だけではなく野も同じ事。田畑の色もまたその濃淡が美しい季節である。蓮華畑、小麦畑。そうした苗代時の田園風景も長閑な光景が広がる。

山笑う

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

活き活きとした山谷の美しい事。生き物は皆活力にあふれる季節。

キアゲハ

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

野焼きを終えた野は芽吹きを迎えている。小花が褐色の原野に顔をのぞかせる。そこにキアゲハが舞い降りる。この季節を多く感じさせる光景である。

久住山麓

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

お昼過ぎから少し移動してみる事にした。いざ産山方面へ。久住の麓に差し掛かるとその山肌は紫がかった色をしており、不思議な感覚を催した。新緑とその山肌を撮影。雲影がその感覚を増長させる。

産山の原野、放牧

EOS 60D/EF70-300mm F4-5.6 IS II USM/手持ち/ISO100:F16:1/40秒

放牧された牛たちが草を食む。そうした光景が阿蘇らしさを醸し出す。まるで紅葉のような色彩を放つ木々を背景にして、芽生え始めた柔らかな草花を食べる牛。新緑とのコントラストが美しい。この季節見られる阿蘇の光景はどこか柔らかである。

EOS 60D/EF70-300mm F4-5.6 IS II USM/手持ち/ISO100:F16:1/40秒

そういえば60Dとノーマル新型レンズのEF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した2枚であるが、とても軽くて取り回しやすい。このシステムは今後お散歩のときに重宝しそうだ。新型のレンズの方のピントもスッと早くて嬉しくなる。

産山と五岳

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F16:1/40秒

牛たちが一斉に歩き出す。丁度阿蘇五岳のほうへ。芽吹きの季節を迎えた原野は若草色。こうした姿もとても魅力的だ。産山のこうした眺めは最高である。

春の陽光

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

ふと杉林のほうへ目を移すと陽光によって葉が照らされ美しい色をしていた。

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

原野を段々畑のような筋がボーダー柄を為している。これは牛が踏み鳴らした跡、牛道である。牛道が浮かび上がり、その光が木々を優しく照らす。

山谷に差し込む光

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

山の谷間に光が差し込む。様々な木々の葉を照らすとまるでステンドグラスや万華鏡のよう。こうした色合いは今の時期ならではである。

新緑の渦

EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F4L IS USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

山吹水源に下ってみる。そうするとロケハンが水源地で設営を行っていたため、それ以上入り込めなかった。しかし綺麗に渦を巻く場所があったので撮影。

EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F4L IS USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

そしてその渦巻く葉っぱが黄緑をしていてとても爽やかな気持ちにさせてくれる。この季節は落ち葉さえも若々しい。新鮮な水と空気に癒される。

産山の原野

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

日がとても傾いてきたので、熊本へ戻る事にした。傾いた日が山を照らし、そこに長い影ができる。根子岳と産山。

斜陽

EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

牛道が浮き上がる。こうした光景もとても面白い。

春の外輪山

外輪山は模様のようにくっきりと橙色と黄緑色が分かれていた。まさに天然の芸術である。こうした光景が広がる阿蘇。素晴らしい季節である。ミルクロード。家路を急ぐ車。どこか哀愁が漂う作品となった。

母なる大地阿蘇の偉大さ

以前はゴールデンウィークといえば阿蘇の渋滞はものすごかった。しかし今はとても車が進む。火山活動も地震も落ち着いてきた熊本。私は今だからこそこの風景を堪能する。そしてこの時期の阿蘇をとてもお勧めしたい。優しい光、陽気に包まれ、爽やかな風が吹き抜ける。小花があちらこちらに咲いていて、若草の薫りに包まれている。牛はこの過ごしやすい環境で闊歩する。本当に素晴らしい阿蘇を是非様々な人に知って頂きたいのである。新緑の阿蘇。素晴らしい大地、水、空に抱かれたこの自然を前にすると身も心も洗われていく。

実は私は産山村に住んだことがある。美しい自然に囲まれるこの体験は私にとってはかけがえのない財産である。時として自然は猛威を振るう。しかしこの地ではその自然、そして山を神と崇め共存してきた。この火山のおかげで人々に恵みの水をもたらし、ひいては豊かな海をも作り出すのである。山吹水源や池山水源の水は大分を流れ、豊かな漁場として知られる別府湾へと注いでいる。このように、この阿蘇という地域は熊本の水がめというだけではない、九州全体の豊かさをも支えているのである。ひいては日本全体の食をも支えている事になるのだろう。私はこの母なる大地阿蘇の偉大さをもっと多くの人々に広めていきたい。そしてその素晴らしい姿を一目見てほしいと願うのである。しかもこの地は食、水、空気すべてが美味しいときている。

阿蘇紀行-ASO GLOBAL GEOPARK- Vol.1 北外輪山

2017.01.23
▲上記は阿蘇紀行Vol.1。阿蘇谷や外輪山など撮影。

阿蘇紀行-ASO GLOBAL GEOPARK- Vol.2 古閑の滝

2017.02.15
▲vol.2。古閑の滝の厳冬期。凍結した滝。

阿蘇紀行-ASO GLOBAL GEOPARK- Vol.3 杵島岳

2017.02.27
▲vol.3は阿蘇五岳の中の杵島岳。ああ美しき風景。

阿蘇紀行-ASO GLOBAL GEOPARK- Vol.4 押戸石の丘

2017.03.19
▲vol.4。野焼きの原野。自然と伝統を今に遺す。

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。