2017熊本復興飛翔祭。蒼天のブルーインパルス~熊本城に6万人の歓声が響いた日~

築城400年、熊本城の魅力を紹介。熊本城にみる熊本地震。

2016.11.24
滝坂次郎

雲一つない青空に抱かれて舞うブルーインパルス。

 丁度「熊本地震」から1年を迎えたH29年4月。熊本の復興を祈念したイベント「熊本復興飛翔祭」にてブルーインパルスが曲芸飛行を披露した。熊本城上空で行うフライトという事もあり多くの見物客で賑わった催しとなった。二の丸公園では約6万人の観衆が詰めかけ、この演技に夢中になったのである。更にはこの場所だけではない。熊本の約半径10キロという広い範囲を飛行したこともあり、熊本の人々がこの同じ瞬間に同じものを見つめるという共通体験。とても不思議な感覚である。ちなみに今回は「熊本とブルーインパルス」というテーマの撮影が行いたいと考えた。被災地熊本の上空で飛行しているという状態を撮影したかったのである。その為私は金峰山に登りそこからこの光景を見つめることにした。

先行する一機。開幕の回転飛行


 前日の予行では少し雲が出ていたが、本番であるこの日、この日の為に用意されていた舞台であるかのように快晴であった。そこには青一色に染まった空が用意されているのみ。ブルーインパルスの吐き出す白煙はまさに大空というキャンパスに描かれた芸術であった。

 そして春先多いPM2.5の影響も割と少なかったといえる。前日やや多いという状況だったのに対して、この日は運にも恵まれて九州北部は「少ない」という予報。視界も比較的良好で遠望にも映える演技飛行だった。ブルーインパルスは熊本の多くの人々の心を魅了し去って行った。 

 一機が先行し熊本市上空へ滑空。降下してきた。その後機体に回転を加えて視線を奪う。美しいソロパートなのだろうか。開幕を告げる軽快な登場で前座を盛り立ててくれた。

 早速、見ている人々からは歓喜と驚きの声が混じり聞こえていた。ついつい私の声も漏れていた。 
エンロン・ロール【アニメ】
 

熊本の空に舞い降りるブルーインパルス


 
 その後少し間をおいて五機が編隊飛行。鶴翼の陣。隊形デルタで登場。そのまま熊本上空へ進入するブルーインパルス。とても壮観な光景だった。

 白煙が熊本上空を舞う。隊形一糸乱れず次第に高度を下げていく。熊本市街、阿蘇山系、そしてブルーインパルス。この土地に美しい模様が浮かび上がった。このとき人々は思い思いに歓声を上げていた。 

眼下に広がる熊本の街/滑空していく。


 
 
 こうしてみると熊本の風景は美しい。江津湖や阿蘇、熊本城。都市のすぐ周りには田園風景が広がっている。この都市過ぎず、田舎過ぎずというコンパクトシティさが最高の魅力なのではないだろうか。この時、上空を飛んでいく航空機を多くの熊本市民が見上げていたに違いない。熊本平野の隅々からきっと見えていた。

熊本を滑空するブルーインパルス【アニメ】

高高度を飛びキャンパスに円を描く


 かなりの高度に上昇し、円を描く。真下から見ると桜に見えるようである。九州山地のはるか上空を飛んでいる。弧を描くスピードやその曲線までも絶妙に揃っていて真横から見ても面白い光景だった。 

 終盤での隊形チェンジはとても美しかった。一直線のトレイン隊形からデルタ隊形への変形。金峰山から見てもその美しさは圧巻であった。まるで扇状に広がる翼のように見える。その隊形を維持したまま旋回していく。 

熊本城とブルーインパルス


 写真の下方に広がっている森林地帯は熊本城である。熊本城上空で旋回するブルーインパルス。とても美しい光景。

 ところで写真類は全てクリックして拡大できるようにしている。

 熊本市街と熊本城、西原村と阿蘇外輪山、そしてブルーインパルス。こうした光景を目の当たりに出来ただけでも、この場所を撮影地として選んだ甲斐があったような気がした。 

旋回するブルーインパルス【アニメ】

編隊飛行とソロ機

 
 

 このとき気づいてはいなかったのだけど、5基での編隊飛行へと切り替わっていた。このまま彼らは北上していき、ここからは見えなくなってしまった。見えなくなって暫くしていたら、どこからともなくジェット機特有の音が聞こえてきた。残りの一機だ。


 ビューーーンと金峰山の至近距離を左旋回していく一機。よく見ると操縦席で手を振る隊員。周りの人たちも一斉に手を振り返していた。最後まで楽しませてくれたブルーンパルス。最後に美しい機体を拝むことが出来て大変満足している。

熊本へ来たブルーインパルス。

 大変すばらしい演技を見せて頂いたブルーインパルス。また関係者の皆様に多大なる拍手を送りたい。熊本城周辺へ行けなかった人々もこの演技飛行はあらゆるところから目撃できた。6万人の観客を沸かせたということであるが、おそらく目撃した人の数はその数をはるかに超えている。

 多くの人々に歓喜を与えた瞬間。熊本は田舎とは言えど中核都市の一翼を担う。こうした都市部での演技飛行は益々危険と隣り合わせ。また熊本中の人々の視線を浴びる事を考えると多くの重圧があったに違いない。

 しかしながらこのイベントを成功へ導いた日ごろの鍛錬とその精神力に脱帽したい気持ちだった。また帰投する際には、益城、西原、南阿蘇、大分など被災地の上空までも足を運んでくれている。兎にも角にも熊本で彼らの名演を見られたことは必ずや記憶に残る出来事だ。ちなみに、下記は同じ時間に二の丸公園から撮影したダイジェスト動画を掲載している。 

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。