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雲一つない青空に抱かれて舞うブルーインパルス。
丁度「熊本地震」から1年を迎えたH29年4月。熊本の復興を祈念したイベント「熊本復興飛翔祭」にてブルーインパルスが曲芸飛行を披露した。熊本城上空で行うフライトという事もあり多くの見物客で賑わった催しとなった。二の丸公園では約6万人の観衆が詰めかけ、この演技に夢中になったのである。更にはこの場所だけではない。熊本の約半径10キロという広い範囲を飛行したこともあり、熊本の人々がこの同じ瞬間に同じものを見つめるという共通体験。とても不思議な感覚である。ちなみに今回は「熊本とブルーインパルス」というテーマの撮影が行いたいと考えた。被災地熊本の上空で飛行しているという状態を撮影したかったのである。その為私は金峰山に登りそこからこの光景を見つめることにした。
先行する一機。開幕の回転飛行
そして春先多いPM2.5の影響も割と少なかったといえる。前日やや多いという状況だったのに対して、この日は運にも恵まれて九州北部は「少ない」という予報。視界も比較的良好で遠望にも映える演技飛行だった。ブルーインパルスは熊本の多くの人々の心を魅了し去って行った。
一機が先行し熊本市上空へ滑空。降下してきた。その後機体に回転を加えて視線を奪う。美しいソロパートなのだろうか。開幕を告げる軽快な登場で前座を盛り立ててくれた。
熊本の空に舞い降りるブルーインパルス
白煙が熊本上空を舞う。隊形一糸乱れず次第に高度を下げていく。熊本市街、阿蘇山系、そしてブルーインパルス。この土地に美しい模様が浮かび上がった。このとき人々は思い思いに歓声を上げていた。
眼下に広がる熊本の街/滑空していく。
こうしてみると熊本の風景は美しい。江津湖や阿蘇、熊本城。都市のすぐ周りには田園風景が広がっている。この都市過ぎず、田舎過ぎずというコンパクトシティさが最高の魅力なのではないだろうか。この時、上空を飛んでいく航空機を多くの熊本市民が見上げていたに違いない。熊本平野の隅々からきっと見えていた。高高度を飛びキャンパスに円を描く
熊本城とブルーインパルス
ところで写真類は全てクリックして拡大できるようにしている。
熊本市街と熊本城、西原村と阿蘇外輪山、そしてブルーインパルス。こうした光景を目の当たりに出来ただけでも、この場所を撮影地として選んだ甲斐があったような気がした。
編隊飛行とソロ機
このとき気づいてはいなかったのだけど、5基での編隊飛行へと切り替わっていた。このまま彼らは北上していき、ここからは見えなくなってしまった。見えなくなって暫くしていたら、どこからともなくジェット機特有の音が聞こえてきた。残りの一機だ。
ビューーーンと金峰山の至近距離を左旋回していく一機。よく見ると操縦席で手を振る隊員。周りの人たちも一斉に手を振り返していた。最後まで楽しませてくれたブルーンパルス。最後に美しい機体を拝むことが出来て大変満足している。
熊本へ来たブルーインパルス。
多くの人々に歓喜を与えた瞬間。熊本は田舎とは言えど中核都市の一翼を担う。こうした都市部での演技飛行は益々危険と隣り合わせ。また熊本中の人々の視線を浴びる事を考えると多くの重圧があったに違いない。
しかしながらこのイベントを成功へ導いた日ごろの鍛錬とその精神力に脱帽したい気持ちだった。また帰投する際には、益城、西原、南阿蘇、大分など被災地の上空までも足を運んでくれている。兎にも角にも熊本で彼らの名演を見られたことは必ずや記憶に残る出来事だ。ちなみに、下記は同じ時間に二の丸公園から撮影したダイジェスト動画を掲載している。