有明紀行-ARIAKE SEA- Vol.1 三角/網田

滝坂次郎

有明紀行

今年はまだ涼しさを感じるのみであったが、この日は蒸し暑く外を出歩くとカンカン照り。家に帰ると思いのほかクタクタに疲れてしまっていた。春の日差しにも気を付けねばなるまいと心した次第である。ところで本日は熊本の三角、網田に赴いた。この地域には世界遺産となった三角西港もある。

上記の写真はその三角西港にある高田回漕店の二階から撮影したものである。葉桜になる一歩手前、季節を表してくれていた。日本家屋で海沿いのこの家屋は、窓を開放していると否応が無く涼しい風が通り抜けていく。階段が急で祖父母の家を思い出していた。有明海は九州山地・阿蘇の恵みを受けて栄養豊富な海、そこでノリ養殖も盛んである。今回はそんな海を題材としてみる事とする。

海歌い山笑う

EOS 5DmarkⅣ/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F16:1/160秒

三角岳への登山道から撮影した有明海。新緑が美しい季節となっている。緑のコントラストが豊かだ。そんな大地と海の対比。海と山。熊本は二つの恵みによって支えられている。船を画角内に収めてみた。実はここまでの道すがら樹洞のある木があり、それを覗き込むと特大のモンスズメバチが。肝を冷やして登り降りしなければならないかった。

真剣な盗み人

EOS 5DmarkⅣ/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F5.6:1/1000秒

颯爽と何処からともなく飛翔してきたアオサギ。港の生けすから新鮮な魚を拝借する盗人であった。暫しの格闘の後、丸のみにしていた。しっかりとその姿をカメラに収め、証拠とすることが出来た。煌く海と生けすから噴き出す玉水も綺麗だ。

セグロカモメの集団営巣

EOS 5DmarkⅣ/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F16:1/160秒

結構な数のセグロカモメ。コロニーだと思われる。

滑空

EOS 5DmarkⅣ/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F5.6:1/640秒

羽を広げると大きな体躯。黄色の嘴。赤みを帯びた肢。

集団の中を飛ぶ亜成鳥

EOS 5DmarkⅣ/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/手持ち/ISO100:F5.6:1/800秒

セグロカモメの亜成鳥が集団の中を飛び立つ。

海と陸のコントラスト

EOS 60D/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO500:F16:1/640秒

干潟で餌を探す鳥の姿が見えた。遠望の風景とマッチして面白い光景だったので撮影。中央部に写るこの鳥はクロツラヘラサギ。しゃもじのような嘴、黒い顔が特徴。実はこの鳥は絶滅危惧種に指定されている。熊本の海岸線では荒尾干潟や熊本港周辺でも確認されているほか、都市部である江津湖でも確認されている。

春潮の有明海

EOS 60D/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/1600秒

日が傾き、干潮に近くなると干潟が姿を現す。そこでは漁業者が潮干狩りをしている姿を目にする。同時に鳥たちにとっても都合がよいらしい。鳥と人が並んで獲物を刈る姿を度々目にするのだ。黄金に輝く海。春の海はその色も鮮やかとなる。まるでこの季節の山と呼吸を合わせるかのように。

ボーダーレスなボーダー

EOS 60D/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO320:F16:1/500秒

干潟には美しい縞模様。望遠で圧縮させて撮影。自然の海に境界はない。しかし自然が作り出すこの均等な形状はまるで境界線を引っ張ったように等間隔を刻んでいた。

豊穣の海・有明海。その根源は阿蘇の齎す恵みにある。

有明海はその干潟の豊かさが特徴だ。今回は三角方面ではあったもののラムサール条約にて登録された荒尾干潟などに至っては熊本の干潟として特に有名である。海の豊かさの根源は山にあるという。山から溶け出したミネラル分が海へ運ばれる事によって豊かな海資源が育まれる。熊本の場合は阿蘇という大いなる山の存在が大きいのである。あの豊かな自然は、この地域のすべての源であると言っても過言ではない。森、川、海。熊本においてはこれらが三位一体となって様々な動植物を養い培っている。

 そしてここに住む我々はそれらすべての恩恵を受けている事になるのである。私が思うにこれは途轍もなく幸運な事。今回は鳥が中心だったが、いつか有明海の風景も撮影したいところである。実は今回もPM2.5が多いとの予報のため海へ向かってみたという経緯がある。暫くの間山ばかりへ足を運んでいたが、「時には海も良いな」などと今は思い直している。熊本はいわゆる貧乏自治体。少子高齢化、人口減少も進みゆく。しかしながら少し身の回りを見渡してみると、こうした”豊かさ”に溢れた場所であったことを気づかされるのである。そしてそれらから多くの恵みを頂き、この地に生活している事に感謝する次第である。

盗人の犯行一部始終。

阿蘇。世界一のカルデラと1000年の伝統が生み出した美しき風景。

2016.11.26
▲阿蘇を紹介する記事。

阿蘇紀行-ASO GLOBAL GEOPARK- Vol.1 北外輪山

2017.01.23
▲紀行は写真を撮り歩くコンテンツ。その第一幕。

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。