さくら紀行-SAKURA cherry blossom-

滝坂次郎

さくら紀行

今年の桜の開花時期は1週間から10日ほど遅れている。そしてまた曇り雨が続き、長雨の様相を呈していた。実をいうと桜や梅を撮影するのは実は苦手とする分野でもある。幾度か今年も小雨の中でも撮影したりしていたのであるが、あまり手ごたえを感じていなかったのである。しかし本日は久しぶりの晴れの日、満を持して臨んだ今回の撮影では、桜との良き出会いが待ち受けていたと言っても過言ではなかった。今回さくら紀行と場所以外の紀行としたのは、一カ所での撮影ではないからである。コンテンツとして、この試みが成功していたとしたら嬉しい限りである。

桜花の舞

EOS 60D/EF100mm F2.8L マクロ IS USM/手持ち/ISO100:F5.6:1/2500秒

ふと立ち寄った先で見つけた桜。その桜は既に満開を過ぎ、衣を脱ぎ捨てる所であった。桜吹雪はこの時期とても美しい。春風に吹かれ飛んでいく桜花。頭やバックの上に花びらが舞い落ちる。たったそれだけの出来事なのに心嬉しい事この上なく、その時を過ごすことが出来る。

花影の妙

EOS 60D/EF100mm F2.8L マクロ IS USM/手持ち/ISO100:F5.6:1/2000秒

日光を浴びる花弁は逆行から見ると耀いている。脈が浮き上がって一枚一枚に生命力さえも感じるのだ。しかし桜がこの時期だけのものだと思うと頂けない。木枯らしの冬。春が訪れると一斉に蕾みを芽吹かせ、花を咲かせる。そうしたコントラストが日常に華やかさや儚さを齎す。そしてまた新緑の訪れを予感させる。

花錦

EOS 60D/ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/100秒

ここは立田山。枝垂桜を撮影。なんとも素晴らしい佇まいで我々を魅了してくれる。本日のこの場所は行楽客もいつもよりは多かったようだ。確かに満開の桜だったので見栄えがとてもする。望遠ならではの圧縮効果により、画角いっぱいに埋め尽くされた桜花、力強き桜幹。

東風にしなる

EOS 5DmarkⅣ/ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/40秒

一つ前の写真「花錦」はAPS-Cセンサーの60Dで撮影しているが、こちらはフルサイズセンサーの5D4で撮影している。枝垂桜ならではの細枝を主役に配しているのだが、正直なところ甲乙つけがたし画質である。ただし枝の描写が多少なりともパリッとしていて気に入っている。ちなみにどちらも異なる桜ではあるが。

花筏の航路

EOS 5DmarkⅣ/ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:20秒

花びらが舞い降りた水面を撮影。そこに映りこむ森の新緑と共に。風によって運ばれた桜の花弁。そしてまたその風によって水面がかき乱される。花の動きの激しい部分と緩やかな部分があり、その動き方がとても面白い。

誘惑

EOS 60D/EF100mm F2.8L マクロ IS USM/手持ち/ISO100:F5.6:1/320秒

花の香りに誘われて昆虫もやってきていた。桜に誘われてしまうのは、どうやら我々人間だけではないようである。

風光る

EOS 5DmarkⅣ/ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚/ISO100:F16:1/8秒

圧倒的な存在感。これぞ桜であると感嘆したい気持ちである。私の中では新緑の中に映えるヤマザクラが最高に美しいのだと考えていた。今はまだ行くことが出来ない北向山原始林の中のヤマザクラの美しさは別物としての美しさがある。しかし今回であった桜は全ての者の心を惹きつける生来の魅力を備えていた。

水先案内人によって発見出来た魅力。

立田山の桜を拝見したのは初めてであって、ここまで素晴らしいとは考えていなかった。これまで桜というものにそこまでの関心が無かったのかもしれないと反省している。しかし今回出会った桜たちは、その私の態度を一変させた。私の思っていた桜の魅力は”一部”に過ぎなかったのだ。立田山という行き慣れた散策フィールドにこれほどまでに魅力的なものがあった。そうしたいつもの環境の変化にこそその一因があるような気がしてならないのである。日常を過ごしてきたこの場所で圧倒的な存在感を突如として放つ桜花。それを感動しない事があろうものか。今回は桜のポートレートを1,2枚撮影せんとしていたのであるが、それが一つのポートレート集となってしまった。写真を撮っていると心躍る瞬間というのがいつまでもある。それは多くの良き出会いに導いてくれる先導者、水先案内人のなせる業。写真はそういう役割をも担っているのかもしれないとさえ思えてくる。ところで、私は自分に言い訳できないように、またこれ以上のものに羨望がないように、フルサイズ5D4を購入した経緯がある。しかしAPS-C60Dは十二分にその能力を発揮し、現役稼働しているというのもまた私にとっては心嬉しい出来事の一つである。これからも大切にこの道具を用いて行きたいところである。

立田紀行-TATSUTA Nature Park-

2017.01.28
▲立田山の一年の魅力。

【さろく旅】熊本中心部。立田山憩いの森を散策。標高152mの頂きへ。

2017.01.01
▲頂上まで散策してみるコンテンツ。

滝坂次郎ブログ:春雨の桜花-数日前、雨の日に撮影した桜。

▲画像クリックでブログへ。

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。