【さろく旅】長崎・池島。日本の炭坑技術の粋を今に遺す有人島。/前編

今回は長崎にある炭鉱があった島。ここは有名な軍艦島こと端島とは少し趣が異なる。何故ならば今でもこの場所で暮らしている人々が居るからである。また閉山は2001年と最近まで稼働していた炭坑でもある。日本には釧路を始めとして未だ稼働中の炭坑がいくらかあり、外国人研修生の受け入れなどを行っている。ここ池島でも2007年まで研修生の受け入れなどを行っており、つい最近まで稼働していたといっても過言ではない。池島炭鉱では観光用坑道として今も残されている部分があり、炭鉱マンから話を聞きながら見学する事が可能となっている。現在、修学旅行生なども受け入れているようだった。ちなみにここ池島も大牟田や荒尾と同様に三井系の炭坑である。

森末はじめ-銘滝坂次郎-銘

瀬戸港よりフェリー乗船。上陸後、徒歩で港周辺を巡る。

まずは我々は大瀬戸の瀬戸港から車ごとフェリー乗船する予定だったため、こちらへ向かった。コンビニは大瀬戸にあるので、買い忘れ等があればそこで購入すると良い。

アクセス/地図を表示:瀬戸港
〒857-2302 長崎県西海市大瀬戸町瀬戸樫浦郷

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 瀬戸港からフェリー乗船。朝焼けの海をひた走る。
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瀬戸港
熊本市内の自宅を4時半ほどに出発。熊本インターから佐世保大塔。そこから南下して瀬戸港へ。この道のりで瀬戸港に着いたのが7時ちょうど程だった。2時間半ほどの道のり。フェリー乗り場では池島行のレーンに車を置く。10分前にならないとチケット販売所が開いておらず、そこから車検証を提示してから順番通りにフェリーへ乗り込む。車で向かう場合には早めに赴いた方が良い。

浮島
フェリーから撮影するとその速度に驚いた。船も意外に速い。その船上から撮影するには意外に苦労が多いことが分かった。これは浮島現象を撮影。これが撮れた時もう満足であった。これから来たるべき旅を十分に楽しむ心の準備が整ったのである。

夜明け
丁度出航の時間に日の出時間が重なり、旭を拝みながらの航海。船尾方向ではカモメの大群が海面すれすれで右往左往、縦横無尽に飛び回っていた。餌の時間であろうか。後ろからボートがついてきていたのだが、波間が美しかったので撮影してみた。

鳥
右手には松島。その名の通り松の木に覆われていたことが由来となっているようだ。この島にも炭坑があったが、落盤事故が発生したりしている。エネルギー革命によって石炭から石油へとその主要エネルギーのバトンが引き継がれた事で、この島の賑わいも失われ、加速度的な人口流出が続いた。以前は捕鯨の島でもあったようだ。

松島
しかし私から見ると、ここ松島の自然はとても魅力的に映った。朝日に照らされる森林。

洞窟のラクダ
松島には洞窟があった。当初私は防空壕か何かのあとだと思ったのだが、それにしては小さい。ただの洞穴だろうと思う。ただそこにはラクダが寝そべっているように見えてきて面白い。

松島
朝日に照らされると光と影のバランスが絶妙。木々のディティールが際立つ。

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 見えてきた池島。朝焼けに映える炭坑の島。
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池島全景
遠くに朝焼けに包まれた島。これが池島である。出航して数分ですぐに池島の全貌が現れる。池島は最盛期には7000人の人口を数えた島。以前は100を超える集合住宅があったようだ。

池島遠望
ズームして寄って観るとつい声が出た。建ち並ぶ集合住宅群が岸沿いや丘の上にあり、その間には竪坑櫓や火力発電所、その他多くの炭坑関連施設が見える。丁度横からの光が美しい。

火力発電所と八階建てアパート
煙突が見えるのが島の電力を賄った火力発電所。丘の上に建ち並ぶ八階建てアパート群。ちなみに右写真の丘の上の建物は学校。2017年現在の生徒数は2名。教員も2名だそうだ。中学校は生徒が不在のため暫く閉校中。

貯炭場
山肌に建ち並ぶ施設群。

鏡が池
入り江内に港があり上陸。約30分間、7時47分着。この入り江はもともと鏡が池という池だったそうだ。その水をポンプで排水。元々池だった場所を約8m掘削し、石炭タンカーが入れるような港湾を整備したもの。

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 池島中央会館到着。宿泊はこちらまで。
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池島中央会館
ところで今回はこの池島中央会館で一泊することにした。島唯一の宿泊施設である。事前に予約したときに車を見学中は何処に置いていたらいいのかを伺ったのであるが、「ここの駐車場に朝から止めて良いですよ」というお返事だったため、朝からこの駐車場に車を止めて歩き回ることにした。島内へ宿泊の場合は事前に池島中央会館へ連絡し予約する必要がある。また食事などは持ち込む必要がある。キッチンや調理器具はそろっているようだ。私の場合はパンなどの軽食を持ち込んだが、更に島内の”かあちゃんの店”で夕食を頂く予定であったので、念のためにそちらにも連絡をしている。

アクセス/地図を表示:池島中央会館
〒857-0071 長崎県長崎市池島町1009−1
☎ 0959-26-2030

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 池島中央会館から港までをさろく。火力発電所。
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ボタ山
10時40分程から「長崎さるく」で予約した池島炭鉱ツアーが港の桟橋付近集合だったため、中央会館を歩いて下った。この島の周囲は4km程しかない。常に見どころがある為、歩いて回るのでもちょうど良い。左の写真に写る貯水タンクのある山はボタ山らしい。ボタ山というのは選炭した後に出る不要な鉱石類を捨てる場所。

海
下りには素晴らしい眺め。私も日帰りで、なおかつ三脚やレンズなど多くの荷物さえなかったら瀬戸港の付近へ車を置いて来ていたと思う。ちなみに港についてすぐの桟橋付近に数台も止められる駐車場があるため、ぎりぎりの船の場合はそこに止めさせてもらえるか相談してみてもいいのかもしれない。

火力発電所
下って行くと火力発電所がある。ここでは炭坑で採掘された石炭を選炭し、一番軽い微粉炭を発電利用。またこの火力発電による排熱利用により海水を淡水化していた。その水を生活用水。もちろん飲用として用いていたそうだ。数十年飲み続けた炭鉱マンも健康被害は今のところないと言われていた。

錆び
土も何もない場所になぜか草が生えている。

階段
錆びた配管と階段。

タンク
青いタンク。

錆びた配管
朝日を浴びる火力発電所。

赤さび
青と対を為す錆びて赤くなった階段。

火力発電所
火力発電所正面。この辺りで撮影していると、どこからともなく「めぇ~」「めぇ~」と声がしていた。どうやらヤギさんがいるらしい。

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 港周辺をめぐる。ジブローダー。トリンマー。
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ヤギ
ヤギは放牧されていて、もくもくと草を食んでいた。しかしその背景とのギャップが面白いところである。このヤギは用務員がいない学校の敷地の雑草処理班で、2頭いるようだ。メリーちゃんともう一頭の名前は忘れた。

yagi
これは超広角レンズで撮影したのだが、フルサイズではないためちょっと迫力に欠けたかもしれないという反省。このときヤギさんはレンズをクンクンしていた。

港から選炭
円形の建物はシックナー。固形物の分離層。そこにはレールと接続した機械もある。こうした機材は老朽化が進んでいる為、後々取り外し、もしくは取り壊ししなければならないと元炭鉱マンは言われていた。

自然とシックナー
シックナー周辺には草木が生い茂る。

港
港沿いの道路を歩いていく。上部には軌道があり機械が移動できるようになっている。またその下には倉庫なのだろうかいくつもの扉が付いた建屋がある。

タンク
鉄製のタンクは老朽化し穴まで開くほどにさび付いていた。その中には水が溜まり続けている。

石炭船積み機トリンマー
道の海側には石炭船積み機トリンマー。これで石炭を船に積載させる。

道
左の一段上がっている部分に少し前までは、石炭が山積みにされていた。現在の姿がむしろ炭鉱マンにとっては”異常な姿”であるという話だった。確かに地元の人からすれば閉山後急激に様変わりする町並。

ジブローダー
この坂を登りきったところにある巨大な機械。これが線路を移動する重機。ジブローダーである。コンベアで運ばれてくる石炭を持ち上げる力強いやつ。

トンビ
池島にはトビが多く、「ピュロロロロー」という声を出しながらジブローダー周辺も飛び回っていた。

火力発電所
火力発電所とトリンマー。この辺りを歩いているともう時間も集合時間の1時間ほど前になっていた。あと少し先を見て回った後、同じ道を引き返すことにした。

ゴミ集積
赤松の林の脇にゴミの集積場のような場所があり、廃車などが打ち捨てられていた。この辺りにはスズメが集団で飛び回っており、海と雀を撮影しようとしたところレンズ付け替え中に逃げてしまった。残念。

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 桟橋方面へ戻る。猫たちとの出会い。
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猫さん
桟橋付近に戻る途中に猫の集会にお邪魔してしまった。この猫はすまし顔。

猫
どうやら危ない集団に目を付けられてしまったようだ。少しずつ近づいてくる。

猫さん
精悍な顔をした猫さんが近づいてきた。とっさに私はしゃがみ込んだ。いやむしろ腹ばい匍匐前進状態だ。その間しばらく時間が流れたが徐々に徐々に間を詰めてくる猫さん。

猫さん
猫との交信。その後、仰向けになって「にゃんにゃん」言っていた。

猫さん
こちらも「にゃんにゃん」返すと、相当なリラックスモードである。何かが通じたらしい。まさに「ごろにゃーご」である。

ポリポリ
このネコさんはとても可愛らしかった。人懐っこい。

ネコさん
この子は「あんただれ」みたいな感じであった。と、そうこうしていると時間が思いのほか経過してしまい集合の時間も近づいてきた。私は後ろ髪をひかれるような思いをしながらも彼らとお別れし、メインディッシュといっても過言ではない炭坑見学に向けてレンズやバッテリー交換などを行った。また歩き疲れたという事もあって小休憩を挟む。

池島は徒歩で回るべき?

写真がメインならば徒歩で回るのがおすすめだ。自転車のレンタルもあるが、おそらく自転車の乗り降りにも時間が掛かるし意外にわざわざ降りて撮るというのは面倒だと思う。その分歩くと発見に満ち溢れる。人の記憶が一番残るのは「歩く速度」らしい。当然といえば当然であるが、しかし私が以前から考えているように、その場所の音、匂い、そして景色を見て歩くことこそ贅沢で、至高の行為なのである。池島は車もとても少なく歩きやすい。多くの発見をしながら島を一周。もっと言えば7時頃に到着してツアーまで島を見て歩いて、2時間のオプションを付ける。そうすれば宿泊までしなくとも多くの場所を見て歩くことが出来るかもしれない。

【次回】ついに炭坑内部へ進入!池島炭鉱ツアー開始!

【さろく旅】長崎・池島。体験型の見学ツアー、ついに炭坑内部へ。/中編

2017.02.09

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。