【さろく旅】華麗なる港倶楽部。剛健なる化学工場。/荒尾・大牟田-後編

前編で万田坑を出たのが14時前。そこから移動して大牟田の三井港倶楽部で昼食をとる事に。その後眼鏡を購入し神社へ参拝。最後は三井化学の工場夜景を眺めた。移動に時間が掛かる事もない。荒尾と大牟田はとても近い。それにこの辺りには見どころも満載だ。万田坑を巡るならついでにちょっと散策するのもいい。

【さろく旅】世界遺産の万田坑。日の本を支えた巨人/荒尾・大牟田-前編

2017.01.09
森末はじめ-銘滝坂次郎-銘

大牟田の街を散策。昼食ランチから夜景まで。

万田坑-三井港倶楽部-松永メガネ-三井化学
 三井港倶楽部の雰囲気とランチを味わい尽くす。
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三井港倶楽部
三井港倶楽部へ到着。正門をくぐるとすぐ右手に駐車場がある。到着は14時ごろとなったがまだランチの時間で、ラストオーダーは14時半である。

港倶楽部正面
正面ロータリーには松の木が植えてある。ここは高級外国船員の接待所ともなった場所で、以前は和洋折衷の作りだったそうだ。今は洋館のみが残っている。
港倶楽部-フロアEOS 5D Mark IV/EF16-35mm F4L IS USM/手持ち
中へ入るとその内装に圧倒される。赤絨毯に高級そうな調度品の数々。レジはこの前にあり店員の方々もとても親切だった。私が初めて訪れたときは見学だけでもさせて下さった。今はこの近辺に来るときには必ず食事もするのだが、兎に角そんないい思い出がある。

隣の部屋
今回は隣の部屋に案内されたのだが、たまたま他のお客さんが居らず、貸し切り状態で当初食事となった。前回は大広間で食事をしており、この場所で食事をしたのは初めてであった。この部屋もとても雰囲気が良くて過ごしやすい。

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 ついに食事”港倶楽部ランチ”を注文。
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井上馨
部屋の入口付近には三池港の開港を記念した「山海を開発して世界に通ず」との井上馨氏の直筆の書が飾られていた。席に着くと同時に「港倶楽部ランチ」を注文。2160円と普段からすれば奮発したものだが、コース内容はごくごく良心的であった。

オードブル
ほどなくしてオードブルがテーブルに出される。どれも美味しくて頬が落ちる。特にタコがお気に入りになった。一つ一つとても丁寧に作られているのが分かる。味付けが絶妙で、薄すぎず濃すぎず素材の味を引き立てているのが良く分かった。

スープ
続いて聖護院カブのスープが出てきた。ブランド京野菜というものらしく、旬は11月から2月までのもので日本最大級のカブらしい。これも薄味ながらコクがあってとても美味しかった。

メイン
メインは豚ロースのハーブ焼きで、ソースはトマトソースだった。ちなみにこのコースは日替わりらしい。お肉も柔らかくてとても美味しかった。ハーブの量も多かったが、チーズとトマトソースとのコラボレーションは抜群。またパンかライスを選べて、パンを頼むとフランスパンとテーブルパンにオリーブオイルもついていた。

デザート
デザートはベリーのムースで酸味と甘みが程よくあっという間に食べてしまった。コーヒーを飲んで至福のひと時だった。ちなみにお皿は「MARUMI」「KANESUZU」「SANGO」のものが使われていた。

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 食後に店内を見学。懐かしさも感じる豪華な洋館。
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フロア
食後には館内を少し見学させていただくことにした。正面フロアには暖炉の上に團琢磨氏の肖像画が飾ってある。中央には大きな花瓶に生け花が施してあり、とても美しい。

階段
二階の階段の吹き抜けには丸い窓があり日の光が明るい。

応接セット
二階に上がるとすぐに応接セットが置いてある。昭和天皇が僥倖されたときに使用されたものとのことだ。確かに厳かな品格が漂う。

港倶楽部二階
二階の一室には伊藤博文氏の直筆の書が飾られている。三井の三池炭鉱により山が輝き、港が潤う。石炭生産により港の船の出入りが盛んになっている様子を書いたもののようだ。

三井港倶楽部-二階
二階も素敵な空間。三井港倶楽部は結婚式や顔合わせの場所としても使われている。

廊下
反対側の階段を降りると大広間までの廊下がある。

三井港倶楽部
館への出入り口には写真が飾ってある。三池港閘門の上に要人が並ぶ写真である。閘門は干潮時でも水位を保ち大型船舶が出入りできるように建造された。この完成に伴い、石炭の輸送量が大きく増えたのである。三池炭鉱施設は当時の技術の粋を結集した場所であった。

銅像-団琢磨
帰り道には団琢磨氏の銅像があった。彼は三井財閥の総帥となった人物。マサチューセッツ工科大学鉱山科で学び、帰国後は教壇に立ったり工部省官僚となった。その後国営だった三池炭鉱が三井に売却されると同時に三井に異動。三池炭鉱を発展させた人物だ。

港倶楽部
今回はじめてコースを食べて大満足だった。お土産に港倶楽部監修のタン坑カレーというものも購入した。おうちレストランも楽しみである。

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 大牟田の街をさろく。メガネの松永から大牟田神社へ。
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松永眼鏡
満腹で満足したのだが、新しいメガネが欲しかった為に銀座通り商店街の大正通り側入り口にある「メガネの松永」を訪ねた。ここもとても接客が良く、丁度良い距離感を保ってくれる。落ち着いた雰囲気でありながらお洒落なディスプレイがされていた。しかもオリジナルブランドまであり、レンズは大牟田の三井化学で製造されたものが原材料であるという。地産地消だ。

メガネの松永
受け取りの時間には辺りは真っ暗だったのだが、この看板はとてもおしゃれだと思う。1時間強で眼鏡のレンズまではめて頂いた。メガネ購入時、連絡先として熊本の住所を書いていると「熊本の方だったんですね。」「観光できました。」「観光?何もないところですけど、そういえばこの商店街に大牟田神社というのがあるんですよ。」と教えて下さった。受け取りの際、神社へ赴いたことを伝えると喜んでくださっていた。

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 ビルに囲まれた大牟田神社。参道が面白い。
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大牟田神社
神社には銀座通り商店街から入ることが出来る。松永眼鏡の前には駐車場もあり、そこから歩いて1,2分の距離でアクセスも良好。
大牟田神社EOS 5D Mark IV/EF16-35mm F4L IS USM/手持ち
商店街の中に神社。とっても面白い。好い!

大牟田神社
今年は何かと忙しく初詣にまだ行けていなかったため、ここで今年初めて拝む事が出来た。我々は今回二人旅だったのだが、二人とも大吉だった。何か今年はいい年になりそうだ。

大牟田神社
この神社は境内も面白く、周りはビルに囲まれている。ビルには蔦が這っている。好い!

大牟田神社
こちらが商店街側。木の後ろに先ほどの入口がある。どこかシュールな絵である。また周りを囲む建物も味わいがある。好い!

大牟田神社
仏教における四天王の一角。毘沙門天像もあった。神社に仏像。ここが日本のいいところでもあると思う。神仏習合は日本の文化を如実に表していると思う。同様に三井港倶楽部を含めて様々な建築物や食べ物などで見られる和洋折衷という考え方もとても日本らしいと思う。なんとこの神社の旧称は「毘沙門さん」なのである。明治時代に神仏分離が行われた影響で、現在は神社の神々を合祀してある。しかし今もその近くに毘沙門天が祭られているのが少々うれしいところであろうか。

稲荷
お稲荷さんも祭ってある。

大牟田神社
神社の裏も路地となっている。そういえばこの神社には大蛇の山車が飾ってあった。そのことを大蛇山というらしい。大牟田の「大蛇山祭り」は無病息災を願って年に一度あり、取り壊して毎年新たな大蛇山を作り直すとのこと。このお祭りにも一度行ってみたいものである。

銀座通り商店街
そこから一度商店街へ戻って大正通りと反対へ歩いてみたのだが、向かいは線路となっていた。この商店街を歩いてみて驚いたのだが、この界隈はとても眼鏡屋さんが多い。それもどういう訳か老舗の店が立ち並んでいる。昔の街の作り、例えば熊本の古町では寺と寺の距離がものすごく近かったりする。それに似たようなものを感じた。

JR
商店街を抜けるともう夕暮間近という状態になっていた。その為夜景スポットを探しに一度ブラッとしてみる事に決めて車へ戻ることにした。

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 大牟田の工場夜景。夜の三井化学を撮る。
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海
一度海の方から工場を眺めてみようかと思い、入り江のほうへ向かった。確かに船が係留されていて良さそうなスポットだったのだが、肝心の工場が遠く諦めることにした。

夕陽
しかしこの辺りでふと雲に目を移すと彩雲があった。こう言う現象が見られると心が躍る。よく考えてみると今日は一日ずっと楽しく、心が躍る一日となった。好きな遺産を見て、初めての神社に赴き、良いメガネ屋さんで買い物。更には彩雲。とても満ち足りた気持ちである。

夕暮
奥まで行ってみると大型船舶も停泊中だった。そしていよいよ日没の時が迫っていた。そこで当初予定した場所で三井化学の工場を撮影することにしてこの場所を後にする。

大牟田工場夜景
今回は三井化学の近くにある公園から撮影した。現場に到着すると当たりはもう薄暗い状態で、ほんの数分で日が完全に落ちてしまいそうな状態となっていた。その最後の夕陽の明かりの中で撮影した。それでも結構シャッター速度が長くなってしまった。
三井化学工場夜景EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚
撮影していると、工場を撮っているのか戦艦を撮っているのか分からなくなってきた。とても精巧な作りのメカメカしいものを目の当たりにしている不思議な感覚。とてもかっこいいのだ。しかもあそこで今も労働に従事している人がいるというのが、休日に安全な所から写真を撮っている私と対極にある気がしてならなかった。
大牟田の三井化学工場夜景EOS 5D Mark IV/EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM/三脚
完全に暗くなると工場の明かりは益々灯り、とてもきれいな情景だった。このとき18時半くらいとなり、あたりも見えない状態となりそうだった為帰路に就くことにした。しかし私はこの撮影で、工場夜景の魅力を知ってしまった。ディティール。なんて素敵なんだろうか。是非クリックして拡大してみてほしいところである。今後も工場夜景に挑戦してみたいところだ。

荒尾・大牟田の魅力

荒尾や大牟田の魅力。ある見方をすれば、炭鉱の町であったという点がそれに相当する。現在でも旧財閥の三井グループの関連企業を数多く見ることが出来るのである。古い建造物が残っているかと思えば、近代的な設備を目の当たりにする。そうしてこの街の歴史が企業の足跡と共に刻んでいる事を感じる場所である。しかしこれらの場所の魅力が、そうしたものに限られるかといえばそうでもない。例えば、”荒尾干潟”はラムサール条約にも登録されるほどに水鳥達にとっての楽園となっているし、大牟田の風俗文化でもあり江戸時代から続く伝統の”大蛇山祭り”は開催期間2日間で約35万人も訪れるほどの大イベントとなっている。このように多彩な魅力が備わる地域でもあるのだ。炭坑の歴史は近代から続くものだとは言え、それ以前より守られてきた自然と風習が今も息づく街なのである。そして古き良きものを残しながら、新しいものを受け入れてきた住民たちの心意気が最大の魅力ともいえるのではないだろうか。

【さろく旅】世界遺産の万田坑。日の本を支えた巨人/荒尾・大牟田-前編

2017.01.09

有明紀行-ARIAKE SEA- Vol.2 荒尾干潟

2017.05.07

ABOUTこの記事をかいた人

学生時代にドイツを一周。ジャーマンレイルパスを使って鉄道の旅だった。そのとき始めて触れる空気に圧倒されたのだが、南ドイツに行くにつけ何か懐かしい空気を感じていた。放牧された牧野や美しい川が流れる渓谷。森林の中での散策。そんなときふと思い出したのは地元熊本の阿蘇だった。その景色や空気は阿蘇と似ていた。しかし、南ドイツにも阿蘇にも代えがたい魅力がある事に気づく。私は日本を一周した事がない、それと同じで多くのドイツ人も国を一周した事はないに違いない。私は極限られた自分の生きてきた土地のことも知らなかった事に愕然とする。生きている場所、熊本の魅力は何か、日本の魅力は何か、きっと多くの発見が身近に潜んでいるに違いないと思えた。そんな地元の魅力を発見、いや再発見していくのがこのブログの目的だ。多くの事実を知り、多くの方とそれを共有していくことが出来れば、私にとってこの上のない喜びである。